この本には2つの帖が含まれておりそのうちの1つは「前後赤壁賦」で、
台北の故宮博物院に収蔵されています。
この帖は行間に白い余白が広がり落ち着いて自在に行われており丸く力強い筆使いが美しく、
宛転自在で魏晋の風流な遺風を完全に受け継いでいます。
これは蘇東坡が黄州に左遷されたとき彼の人生で最も失意で暗い時期に書かれた名作です。
彼独特の人生観が特別な芸術観を形成して書道は温かく中庸な雰囲気を呈しています。

またもう1つの帖は「洛神賦」で丸く転がるような美しい筆使いを活かし、
趙孟フの書道スタイルを完全に表現しています。
行の中に楷書の構造と点画が組み込まれており王羲之と王献之の意志を深く受け継いでいます。
特にその神韻、優雅で自由な風情が感じられます。