『海棠蛩蝶図』は宋代の工筆重彩画で、風に舞う一枝の満開の海棠の花と三匹の蛺蝶の情景を描いています。絹本着色によるこの作品は25cm×24.5cmのサイズで、緻密な筆致と濃厚な彩色が特徴です。筆運びは重厚で、花や葉は色を層状に重ねて表現され、葉の表裏や向きが明快に描き分けられています。

春風に揺れる海棠の花は「宿粧淡粉」と称される淡い桃色の花弁をたたえ、その質感が見事に再現されています。画家は繊細な筆遣いと豊かな色彩で、濃厚な春の情緒と陶酔的な花の香りを効果的に表現しています。軽やかに舞う蝶々は海棠の花と見事に調和し、生き生きとした美の世界を創出しています。

この作品は画家の卓越した技量と自然美への深い理解を示すだけでなく、宋代絵画が自然描写と意境の構築を重視した特質を如実に反映しています。現在は故宮博物院に所蔵されており、宋代絵画の様式や技法を研究する上で貴重な資料となっています。

商品コード：6972251700098

出版日：2024年10月
商品サイズ：34 x 34 cm
商品重量：90g
発送方法：定形外郵便